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「安いRPA」と「高いRPA」の違いとは?

元々、「RPA」とはホワイトカラーの自動化の取り組み自体を指していますが、今ではすっかり「RPAツール」の方を指すことが多くなってきました。

ここでも、RPA=RPAツールということで話を進めていきたいと思います。

 

私、RPAエンジニア兼営業担当者として、お客様の元へお伺いし、RPA全般についてお話をすることが多々あります。

その際に、「ライセンス料の高いRPAと安いRPA、何が違うの?」とよく質問されます。

確かに、気になるところだと思います。

中小企業向けと言われる一般的なデスクトップ型でも、ものによっては数十万円もの差がありますから。

 

さて、この回答をするに当たり、知っておかなくてはいけないことがあります。

 

RPAツール自体の違いとは?

まず押さえておかなくてはいけないことは、「RPAツール」の区分です。

呼び方は人によって変わる場合もありますが、大きく分けて「サーバ型」、「クライアント型(デスクトップ型)」、そして「クラウド型」です。

 

RPAの区分

 

①クライアント型(別名:デスクトップ型)

2020年現時点において、これが最も主流と呼べるタイプです。

皆さんが会社にて普段利用しているパソコンに、RPAツールをインストールして使うスタイルのRPAです。

手軽に導入出来、自動化できる範囲も広く、価格も幅がありますが、比較的安価と言われています。

 

②サーバ型

サーバと言われる高性能コンピュータに、RPAツールをインストールして使うスタイルのRPAです。

クライアントPCと比べた場合、数倍~数十倍の性能を持つので、一度に多くの処理を走らせることができます。

また、全体リソースの最適化を行うことが出来るなど、多機能でもあります。

その分、高価なので、大企業向けと言われます。

 

③クラウド型

IEやChromeといったブラウザを介して、RPAツールを使うスタイルのRPAです。

上記①、②に比べてとても安価で、インターネットが繋がっていれば、すぐに使うことができます。

但し、汎用性という面では劣る部分があるため、本当に希望する自動化ができるのか?を導入前に充分確認する必要があります。

現時点では、まだ主流とは言えませんが、5年後、10年後には状況が変わっているかもしれませんね。

 

 

以上ですが、簡単にまとめますと、

(価格の高さ)
サーバ型 > クライアント型 > クラウド型

(汎用性の高さ)
サーバ型 > クライアント型 > クラウド型

といった状況です。

ちなみに、「汎用性(はんようせい)」とは、どの程度幅広く利用できるのか?(色々なことが出来るのか?)ということを意味します。

 

で、本題に入ります。

 

「高いRPAツール」と「安いRPAツール」の違い

価格でも汎用性でも一般的と言える「クライアント型」ですが、この中でも価格差がかなりあります。

一体何が違うのでしょうか?

 

1.パーツの数が違う

ここでいう「パーツ」とは、RPAツールの中において、通常左右に並んでいる作業アイコンの数と思って頂いて構いません。

それぞれのRPAツールによって、「ノード」や「ライブラリ」、ものによっては「アクション」と呼んだりと様々なのですが、ここでは「パーツ」という呼び方に統一します。

ノード

上図は、WinActorと呼ばれるRPAツールの画面ですが、赤枠で囲ってある部分が、「パーツ」にあたります。

 

我々は、RPAにてロボットを作成する際、このパーツを選択し、繋いでいくことで1つのロボットを作成していくことになります。

RPAツールによって、このパーツの数と質が異なるのです。

例えば、Excelに関してのパーツが20個ほどのRPAツールがある一方で、60個ほどもあるRPAツールもあります。

個人的な主観も入っていると思いますが、価格の高いRPAほど数が多かったり、特別なパーツが複数入っていたり、パーツ自体をアレンジできる機能が付いていたりと、高機能な傾向がありますね。

 

ちなみに、(他のRPAに比べて)特別なパーツとはどういったものか?と言えば、例えばある処理を行いたいとします。

一般的なRPAツールでは、その処理を行うために、A→B→C→D→Eという5つのパーツを組み合わせないと実現出来ないケースがあります。

場合によっては、そもそもパーツでは対応できなくて、VBAなど外部のプログラムを併用して実現させることもあります。

しかし、特別なパーツを持っているRPAでは、パーツ「X」を使うことで、1ステップで同じことが出来てしまうのです。

これによりRPAツールによるロボット作成時間と安定度が違ってきます。

もし、パーツXのようなものを頻繁に利用するようであれば、そのRPAツールを使うべきと言えるでしょう。

実際、「あのRPAツールは金融系に強い!」とか、「あれは元々製造業向けのRPA」いった言い方をする場合もあるので、はじめから自動化する内容がハッキリしている場合には、そういったものを選択するのも良いでしょうね。

 

 

2.サポート体制

社内においてサポート体制を充実したいと思えば、必然的に人手が必要になってきます。

その人手を手配するためには、やはりお金が必要となってきます。

そういう訳で、ライセンス料はサポートの充実度に比例する場合が多いのも事実です。

もちろんライセンス料が高いからといって、必ずしも満足のいくサポートが約束される訳ではなく、中にはサポート料金を別途請求される場合もありますので、ご注意を。

 

 

3.高機能

正直に言えば、現時点ではそこまでの機能差を感じづらいのではないでしょうか。

RPAの成長ステージは、3つに分けられます。

Class1 ⇒ Class2 ⇒ Class3 です。

Class1は、明確な判断基準のもと、繰り返し作業を自動化するというものです。

Class2から、AI(人工知能)との融合が始まり、とても多機能になってきます。

現時点のRPAは、Class1の機能実現は出来ているものの、Class2になると、サードパーティー(※1)の力を借りて実現する場合がほとんどです。

(※1・・・第三者団体のことで、ここではRPAツールを作成・提供している会社とは直接関係ない企業のことを指す)

そのうち、サードパーティーの力を借りなくても、一部のRPAツールでは、ツール内の機能で作業が完結するようになるかもしれません。

しかし、少なくとも現時点では使えないため、RPAツール毎の差が分かりづらいのです。

敢えて言えば、処理スピードが体感的に異なるというのはありますが、そこまでスピードを気にしなくてはいけないシチュエーションは多くないと思います。(それほどスピードが重要な場面であれば、RPA以外の手法を考えた方が良い)

ですので、「差」を家電製品に例えれば、日本製液晶テレビと海外製液晶テレビのように、一般の人が利用する上では、気にならない程度のものなのです。

もちろん、かなり専門的なことをRPAで実現するといった場合には、その差が明白になってくると思いますが、RPAを導入している企業のうち、9割は通常範囲の使い方をされていると思います。

 

RPAは1980年代にアメリカで登場し、日本製のRPAが登場したのは2010年代に入ってからという、まだ歴史の浅いサービスです。

世界的にみても、毎年のように新しいRPAツールが登場している状況です。

これが「Class2の機能が標準で付いているのが当たり前!」というステージに突入すると、性能差を如実に感じられるようになるのではないでしょうか。

 

<まとめ>

2020年12月の時点では、

・同じカテゴリーのRPAである
・成果物が同じであれば、(途中の手順が違っても)良いと考えている
・Class1に定義される作業である

という条件なら、ほとんどのRPAツールは、ほぼ同じことを実現出来ると言えます。

もちろん、実際の購入となると、インターフェースの完成度(使いやすさ)であったり、情報収集難易度(インターネットや書籍での情報量)であったり、サポート体制なども考慮すべき点となりますから、単に安ければ良い!とは言えません。

個人利用ならまだしも、法人として利用するとなると、自動化後にロボットが頻繁に止まるといったことが起こるようであれば、「手間と時間ばかり掛かって、これならRPAを導入しない方が良かった」という状況にもなりかねません。

十分に吟味しましょう。

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