RPAの「得意分野」「苦手分野」とは?

Robotic Process Automation(RPA)は、元々、「負荷テスト」を代行して貰うために出来たそうです。

負荷テストというのは、同じ作業を何千回、何万回繰り返してもちゃんと動くかどうかを確認するものです。

そこから想像がつくように、RPAは単純な反復作業を代行してくれるソフトウェアとして登場したのです。

 

1980年代は、そんなマイナーなソフトウェア扱いでした。

その当時は、「繰り返し」と「条件分岐」の2つしか行えない使い勝手が限られるツールだった訳ですが、2000年に入ってから、「画像認識」の技術が大きく進歩することで、RPAも変わりました。

「画像認識」が機能に加わることで、自動化できる適用範囲の幅が大きく広がったのです。

 

とはいえ、何でも出来る!という訳ではありません。

やはり得手不得手というものはあります。

ユーザーが熟練するほど出来る範囲が広がってくるというのも確かですが、それでも「ロボット作成の手間がかかり過ぎる」とか、「安定度がイマイチ」といった理由であまり作りたくないRPAロボットというのはあります。

 

RPAの得意分野

RPAツールを使う上での大前提ですが、『パソコン上での反復操作』になります。

そして、エクセルやテキスト上にある「デジタルデータであること」が好ましいですね。

デジタルデータといっても、写真やPDFファイルは扱いが難しいです。

 

エクセルにようにちゃんとマス目に入っていて、簡単に読み取れるデータとか、IEやChrome上で反転して選択できるような数字・文字を扱うような反復作業であれば、RPAの得意分野です。

こういった条件が揃っていれば、あとは業種やアプリケーションを問いません。

建設業だろうが、医療系だろうが、金融業だろうが、ほぼほぼRPAで対応可能です。

なので、「RPAの得意分野は何か?」と問われれば、「PCの画面上に映る繰り返し作業であれば、ほとんど自動化できる!」ということになります。

 

 

RPAの苦手分野

簡単に言えば、上記「得意分野」の反対ということになりますね。

エクセルデータではなく、申込書をスキャナーで読み込んだものだったりすると、現在のRPAではまだ100%とはいきません。

AI OCRといったサードパーティのサービスを利用すれば、かなりの高精度で対応することが可能ですが、もちろん別料金が掛かってきますし、それでも100%とはいきません。

RPAにデータとして取り込む前に、目視のチェックを入れる必要があります。

 

また、反復操作ではあるものの、判断基準が曖昧であったり、(条件分岐が)複雑なものに関しても、ロボット作成が困難だったりします。

ここに関しては、「苦手」であり、「不可能」という訳ではありません。

RPAロボット作成者の習熟度により、かなり幅がある部分でもありますね。

ロボット作成者側で、その作業をちゃんとフローチャートに落とし込み出来るようであれば、特殊な環境を除いて自動化できると思います。

 

あと、ネットワークが不安定な場合、ロボットも不安定になりがちです。

最近では、SaaSといったインターネット回線を利用してのサービスが一般的になっていたり、中~大企業においてはデータセンターに基幹系サーバを置いて社内システム構築をしているケースが多いです。

そうすると、どうしても回線やサーバが混雑する時期というのがあり、RPAロボットが正常に稼働しない確率が上がってきます。

具体的に言えば、アプリケーションの処理スピードが遅くなりすぎて、RPAロボットが先走ることによるエラーが頻発してくるのです。

とはいえ、今時スタンドアローン(ネットワークに繋がっていないPCのこと)で利用する方が珍しいので、RPA導入において不可避な話ではあります。

ある程度は遅くなってもタイミングが合うようにRPAロボットを設定するという方法・コツがいくつかり、それを駆使して対応していきます。

ただし、システムによっては完全に対応することが出来ない場合もあることは、覚えておいた方がよいかもしれません。

 

結論

少し脱線しましたが、RPAはレベルが3つあるうちの、今はまだレベル2に一部のツールが入ったところです。

このレベルは、AIとの融合により上がっていき、将来的には現在苦手とされている分野にも対応してくる見込みです。

では、もう少しRPA導入は待った方が良いのかというと、ほとんどの企業において、そんなことはないでしょう。

上記に関しても、少し脅かすような文章もあったかもしれませんが、RPAの適用範囲はとても広いです。

コンピュータ上の繰り返し作業のほとんどを自動化できます。

あとは、「ロボット作成の時間」と「ロボット運用による削減時間」を比較して、作るかどうかを見極めることが難しいといえるかもしれません。

WinActorのような年間100万円以上もするようなRPAツールは、そう簡単に導入に踏み切れないと思いますが、今では年間10万円以下のRPAツールもいくつか登場しています。

毎日、スタッフが1時間以上行っているルーチンワークがあるというのであれば、検討すべき時期になっていると言えますね。

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